昨日放送されたフジテレビ系列「奇跡体験!アンビリバボー」では、2005年(平成17年)に発生した事件を取り扱いました。内容は以下の通りです。

国内実録事件★悲劇の背後に眠る衝撃の真相
今から10年程前、ある男性の捜索願が出されました。 突然消息不明になった1人の男性…今回、複数の関係者の視点から事件を振り返ります。 すると…徐々に浮かび上がる複雑な人間模様。 実はこの事件の背景には恐ろしい事実が隠されていました。

『谷瀬 遼に起こった出来事』
捜索願が出される2週間前…大阪市内のバーで働く谷瀬遼。 1年前に中国地方のホストクラブを辞め、大阪に越して来ました。 勤務態度も真面目で、元ホストだけあってルックスも良く、女性客に評判でした。そんなある日、元カノからメールが届いたのです。

谷瀬遼とその女性が出会ったのは、1年半以上前のことです。彼が地元のホストクラブで働いていた時でした。店の常連だった臼井未奈子。地元で水商売をしていた彼女は、明るく、頭も切れ、人望があったため、23歳の若さながら店を任されていました。 気さくで羽振りのいい未奈子は人気者で中には本気でつき合いたいと思うホストもいましたが、彼女の心をつかんだのは遼でした。 2人はプライベートでも交際をスタートしました。

そんな中、思いがけないことが起きました…未奈子が逮捕されたのです。未奈子が経営していた店に未成年者がいたのです。未奈子は間も無く釈放されましたが…根が真面目だった遼は、気持ちの整理がつかなかったのか、彼女と距離を置くようになりました。そして…プレゼントでもらった時計や携帯電話などを未奈子に返し、彼女の元を去りました。一方の未奈子は、水商売を離れることになったといいます。

そんな未奈子から突然のメールでした。メールの内容は…「今、大阪に来ているの、会えない?」というものでした。同僚は、店に呼べばいいと提案してくれました。そこで遼は、未奈子を迎えに仕事を抜けて、彼女を迎えに行く事にしました。未奈子と合流し、店に来るように誘ったのですが…… このあと、谷瀬遼は働いていた店には戻らず、姿を消しました。

『岸部雅人に起こった出来事』
谷瀬遼の失踪から17日後、警察の捜査によって、岸部雅人という23歳の男が逮捕されました。その2年半ほど前…地元のホストクラブで働き始めた岸部雅人。そこは、失踪した谷瀬遼が働く店でした。谷瀬遼は雅人よりたった1歳年上で、働き始めたのもほんの半年前です。雅人は自分と谷瀬遼はほぼ同格だと思っていました。ですが、店での上下関係は厳しく、先輩として接してくる谷瀬遼のことが気に障って仕方有りませんでした。

イライラの募った雅人でしたが、そんな彼の気持ちを和ませたのが…臼井未奈子でした。雅人は店の常連客の未奈子に想いをよせ、惹かれていたのです。しかし、雅人の思いは虚しく空回り。未奈子は谷瀬遼とプライベートでもつきあい始めました。しかし数ヶ月後…雅人が対抗意識を燃やした谷瀬遼は、外の世界を夢見て大阪に引っ越し、傷ついた未奈子が残されました。雅人はそんな彼女を慰めました。そして2人はつきあい始め、一緒に暮らすようになりました。

ところが…未奈子のところに谷瀬遼から、復縁を迫るメールが送られてきたのです。さらに、谷瀬遼は雅人にもメールで「未奈子に会わせて欲しい」と要求してきました。雅人は、元彼の谷瀬遼からのメールを無視するよう未奈子に言い聞かせました。しかし、未奈子に復縁を迫るメールは、ストーカーのようにその後もしつこく送られてきました。

そして…ある日、雅人が帰宅すると…傷ついた未奈子がうずくまっていました。未奈子は突然やって来た谷瀬遼に乱暴されたといいます。そして未奈子は、谷瀬遼をメールで呼び出しました。雅人は、このあと、「お前なんかこの世に居る資格など無い、旅立て、黄泉の国に旅立ってくれ」と言って谷瀬遼を殺害し、その遺体を身元を分からなくするためにバラバラに切断…あちこちの山に捨てました。

失踪した谷瀬遼の家族から捜索願を出された警察は、谷瀬遼を車に呼び出した未奈子を調査。その結果、未奈子と同居する雅人の存在が浮かび上がりました。さらに警察が雅人の車を調べたところ、遺体をバラバラにして遺棄した時に付着した血痕が発見されました警察署員から厳しい追及を受けた雅人は言い逃れ出来ず、事件が発覚しました。供述どおり、谷瀬遼と思われる遺体が発見されました。最悪の結果を迎えた失踪事件。しかし、これで事件がすべて解決したわけではなかったのです。

『臼井未奈子に起こった出来事』
重要な関係者である臼井未奈子もまた、取り調べを受けました。未奈子と同棲し始めた雅人は、ホストを引退し、別の仕事に就こうとしていたのですが、やりがいのある仕事が見つからずにいました。2人の間には険悪な空気が漂い、頻繁にケンカをするようになっていきました。

そんな時…谷瀬遼から返された携帯電話が目に入りました。谷瀬遼は未奈子とつき合っていた時、それを自分の携帯として使っていました。未奈子は、返却されたあとの携帯は解約するつもりでいましたが、何かあった時、2台あった方が便利だろうという気持ちになり…そのままにしていたのです。その携帯電話を使い、谷瀬遼から自分にメールが送られているように偽装したのです。警察は、捜査によって谷瀬遼からのメールの発信元が、未奈子の契約している2台目の携帯だったことをつきとめました。証拠をつきつけられた未奈子は、もはや真実を隠し通すことができませんでした。

やりがいのある仕事に就くことができず、イライラを募らせる雅人との喧嘩が収まらないなか、彼女は遼からの復縁を求める偽造メールをエスカレートさせました。さらに味をしめた未奈子は、雅人の携帯にも偽造メールを送るようになっていったのです。偽造メールによって雅人の気をひき、愛情に包まれた気分を味わった未奈子でしたが、それは束の間の安らぎにすぎませんでした。仕事に打ち込めないという雅人の問題は解決されず、2人のケンカは、またすぐにくり返されたからです。そのため、未奈子はウソをつき続けることがやめられなくなり…ずぶずぶと捏造の深みに溺れて抜け出せなくなりました。

そして…ついには谷瀬遼に乱暴されたというウソをついたのです未奈子のウソが一線を越えたとき、惨劇はひきおこされました。今更本当のことなど言えなかった未奈子。のちの判決によれば、この時彼女は雅人が殺害を実行することを知りながら協力したといいます。もしかしたら心の奥底で、恋人が自分のためにどこまでしてくれるのか、その愛の深さをとことんまで確かめたかったのかもしれません。何も知らなかった雅人は…警察で「お前の彼女は、エイプリルフールじゃ無いのに、4月1日じゃ無いのに、ウソをついたんだよ」と署員から真実を伝えられました。しかしどんな理由があったにせよ、彼らの身勝手な行為によって、一人の男性の命が奪われたということは紛れもない事実です。 犯した罪は決して許されません。

恋人の狂言に踊らされ元同僚を殺した岸部雅人には、殺人と死体遺棄・損壊の罪で懲役20年。 そして臼井未奈子には、恋人と共謀して谷瀬さんを殺害、遺体をバラバラにして遺棄したとして、懲役18年の判決が言い渡され、判決は控訴せず確定しました。雅人は、結果的に騙されてしまったとはいえ、殺害まで実際に行った罪は重いとされ、未奈子より2年重い刑罰に処されました。恋人の気を引くためについたウソが引き起こした、バラバラ殺人。何の落ち度もなかったにも関わらず、命を絶たれた被害者の無念は計り知れません。

現在、雅人は千葉県千葉市若葉区に有る千葉刑務所に、未奈子は和歌山刑務所に収監中で、雅人はLA級受刑者(無期または10年以上の前科無しの男性受刑者)に、未奈子はWLA級受刑者(無期または10年以上の前科無しの女性受刑者)に分類されています。LA級受刑者とWLA級受刑者は、東芝府中事業所の隣に有り東京競馬場にも近い府中刑務所には収監されません。